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KOYUKAI FRIENDS

言語聴覚療法〜よく聞かれる声のご紹介〜

言語聴覚士が患者さんと関わるなかで、よく聞かれる声についてご紹介します。

 

 

 

1.「まあいいか」と思って食べたら……

嚥下(えんげ)障害になると食べ物の形態や食べ方について制限が多く、もっと自由に食べたいと思われるのもよく分かります。中には退院後、自己判断でいろいろ食べてしまう方もいるようですが、本当に大丈夫でしょうか。

以前に粥食で退院された方で、果物が大好きな方がおられました。その方は最初、柔らかい桃などを選び、よく噛んで慎重に食べていましたが、そのうちに大胆になり、ある時リンゴを切って食べたところ、かけらが喉に引っかかり、ひどくむせてしまいました。幸い窒息や誤嚥(ごえん)には至りませんでしたが、よく噛まずに飲み込んでしまったとのことです。

 

桃は汁気を含んでいて柔かくすべりも滑らかですが、リンゴは固くて形が崩れにくく、しかもシャリシャリ感が持ち味なので噛み方もつい粗くなりがちです。この方にはとりあえずリンゴはすりおろすか甘煮にして食べるように伝えましたが、食べ物の形態や食べ方によって誤嚥の危険性が高まることを念頭に、慎重にお食事していただきたいと思います。

 

 

 

2.まだうまく話せないので……

 失語症の方の中には、退院後しばらく経ってご家族とのやり取りはできるけれど「言葉がよくならないと…… 」と一人での外出や行事への参加をためらう方がいます。外での見知らぬ相手とのやり取りに不安を感じられるのでしょう。

 

 

しかし失語症があっても、その重症度に関わらず自分のやりたいことのために外に出ていける人は、その活動を通じて人と交わり、結果的に言葉にもよい影響を及ぼすことが多いようです。ある右片麻痺・失語症の方は、ボランティア活動に参加し始めてから行動範囲が広がりました。また就労支援施設で働いている方や地域の体操を日課にしている方もいます。話し言葉が十分でなくても表情・ジェスチャー・文字をうまく使って活動されている方もいます。

 

ご自分の役割や居場所を見つけて前向きに取り組めるように、周りの皆で後押しできればいいですね。

 

 

 

3.家族によく当るのですが……

 高次脳機能障害のご家族から「病院では普通にしているのに、家ではよく怒るんです」という声を時々耳にします。

 

 

確かに病院では入院中(外来でもご家族同伴だと)、一人で処理しなければならない場面があまりなく、リハビリもその方に合わせて行うため、環境的に問題が生じにくいと言えます。しかしご自宅では、例えばテレビや家族の話し声といった複数の刺激の中で、何かしようにもすぐに注意がそれてイライラが募ります。そんな時にご家族がちょっと声をかけただけでも、我慢できずに声を荒げてしまいます。

 

 

このような場合、ご家族はあくまで冷静に対応しましょう。興奮が収まるまで席を外すのも一つです。また、ご本人は感情の抑制が効かないことも症状の一つだと認識していないことが多いので、ご本人を交えて症状を理解することも大切です。怒り出しても少し時間が経つと落ち着かれるので、落ち着いてから「怒りのスイッチを切る練習をしないとね」と冷静に話し合うのも一案です。環境設定も含めて気長に前向きに対処していただければと思います。

 

(2017.11発行│広報誌「甲友会ナウ」No.39より)

 

 

 

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