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失語症の方とのコミュニケーション

「失語症を知っていますか?」でもご紹介しましたように、失語症といってもさまざまなタイプがあり重症度も異なりますが、失語症のことを少しでも知っていただけるよう、ここでは多くの失語症の方に応用できることをご紹介します。

 

 

 

1.非言語的なコミュニケーション

例えば失語症で言葉を発することができない方でも、こちらが挨拶すると笑顔で会釈されるケースがあるなど、言葉は出なくても礼節は保たれていて、表情やジェスチャーでコミュニケーションを取ることができます。

 

また、検査では言葉の理解が難しいという結果が出ても、日常生活では周囲の状況や相手の表情と仕草から推測して、状況を理解されることがしばしばあります。このように失語症の方の非言語的なコミュニケーション能力は、病前と変わらず保たれている場合が多いことを理解することで、表情やジェスチャーを活用した交流が可能です。

 

 

 

2.話しかける場合のコツは?

失語症の方は言葉の意味を即座に理解することが難しく、意味を考えている内に、次々に話が続いてしまうと、話の内容が分からなくなる傾向があります。ですので、話しかけるときはゆっくり、言葉の切れ目で少し間をおくようにしましょう。長々と話さず、短い文で分かりやすく話すようにするのです。もし聞き返されたらキーワードをはっきりと伝えましょう。

 

また「聞く」よりも「文字を理解する」方が得意な方々が多いので、キーワードを書いて見せながら話すのもよい方法です。絵や図なども理解の助けになりますので、地図や写真なども積極的に活用しましょう。

 

また、急に話題を変えると混乱されやすいので、別の話題に触れる時には必ず話題が変わることを先に伝えましょう。

 

 

 

3.うまく話してもらうには?

失語症の方は言いたい言葉がなかなか出てこないことがよくあります。そのような時は、聞き手が言いたい内容を推察して「はい」「いいえ」で答えられるような質問をします。あるいは、選択肢を2つ3つ用意し、それを紙に書いて指して選んでもらう方法もあります。

 

質問は、聞き手が内容を推測できる時はよいのですが、難しい時には「家族のこと?」「食べ物のこと?」など、大まかなカテゴリーから聞き、徐々に範囲を狭めていきます。なかなか内容が絞りきれない時は、言葉の文字を一部でも書いてもらう、絵や図に描く、ジェスチャーなど、少しでも手掛かりとなるものが出せないか、試してもらいましょう。たとえ不完全でも聞き手にとってヒントとなるからです。

 

また、話すことができても間違った言葉を言ってしまうときがありますが、誤りを指摘するのでなく、さりげなく「〜ですか?」と聞いたり、正しい語が分かる場合は「〜のことですね?」と正しい語を言って確認しましょう。この場合も文字に書いて示すと分りやすいです。

 

最後に、失語症の方との会話ではお互いに通じ合う楽しみを感じながら、ゆったり時間を取ってください。それが何よりの「コツ」だと思います。

 

(2016.08発行│広報誌「甲友会ナウ」No.34より)

 

 

 

 

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