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知っておきたい!日焼け止めの必要性と正しい使い方【薬剤師が解説】

日差しが気になる季節、紫外線対策は万全ですか?「ただ日焼けをして肌が黒くなるだけだから」「ちょっとの外出だから」と、日焼け止めを塗るのを面倒に感じている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、紫外線は私たちが思っている以上に、肌へ深刻な影響を及ぼしています。この記事では、なぜ日焼け止めが絶対に欠かせないのか、そして製品の選び方から正しい塗り方について、病院で働く薬剤師が医学的な根拠に基づいたポイントを詳しく解説します。

 

 

 

なぜ日焼け止めを塗る必要があるの?

紫外線対策の目的は、美容だけではありません。「光老化(ひかりろうか)」と「皮膚がん」を予防するという、大切な医療上の目的があります。加齢によって自然にできるシワやたるみは避けられませんが、実は「肌の老化現象の約8割は紫外線が原因である」と医学的に言われています。紫外線を無防備に長年浴び続けることで、皮膚の弾力を保つコラーゲンなどが破壊され、深いシワや頑固なシミが作られてしまうのです。

 

また、毎日の日焼け止め習慣が扁平上皮がんや悪性黒色腫といった皮膚がんの発生リスクを大幅に低下させることが、海外の長期的な医学研究で証明されています。美容のためだけでなく、将来の皮膚の健康を守るための予防医療として、日焼け止めは毎日の生活に欠かせない必須アイテムです。

 

 

 

パッケージでよく見る「SPF」や「PA」とは

日焼け止めを選ぶ際、必ず目にするのが「SPF」と「PA」というアルファベットと数値です。これは、2種類の異なる紫外線へのバリア力を示しています。

 

SPF(Sun Protection Factor)

SPFは主に「UVB(紫外線B波)」を防ぐ指標です。UVBは肌の表面に強く作用し、肌を赤く炎症させる原因となります。さらに、長期にわたりUVBを浴び続けると皮膚がんの直接的な発症要因にもなりえます。SPFは、数値が大きいほど赤くなるのを防ぐ効果が高く、日本では「SPF50+」が最高値です。

 

PA(Protection grade of UVA)

PAは主に「UVA(紫外線A波)」を防ぐ指標です。UVAは肌の奥深くまでジワジワと入り込み、シワやたるみといった光老化を引き起こします。また、皮膚を黒褐色に変化させます。+の数で4段階(PA+ ~ PA++++)に分けられ、+の数が多いほどUVAを防ぐ効果が高いことを意味します。UVAは雲や窓ガラスを通り抜けてくるため、車や電車で外出する際にも注意が必要です。

 

 

 

生活シーンに合わせた日焼け止めの使い分け

日焼け止めは、とにかくSPFやPAの数値が一番高いものを選べばよいというわけではありません。数値が高いほど、肌への負担が大きくなる傾向があります。用途や生活シーンに合わせた使い分けが推奨されています。

 

日常生活(洗濯物干し、ちょっとしたお買い物)

SPFやPAの数値がそれほど高くないもの(SPF15〜30程度)で十分に肌を守ることができます 。肌への負担を少なくするためにも、普段使い用のものを持っておくと便利です。

 

屋外での長時間の活動(スポーツやレジャー)

紫外線の強い季節にハイキングや海水浴などを行う場合は、SPF50などの高い効果を持つ製品を使いましょう。

 

汗をかく・水に入る場合

海やプール、汗をたくさんかくスポーツをする日は、「耐水性」の高い製品を選ぶことが大切です。

 

光線過敏症など疾病に伴う紫外線に特に過敏な方は医師の指導に従ってください。

 

【参考】日本化粧品工業連合会編「紫外線防止用化粧品と紫外線予防効果」

 

 

成分(紫外線散乱剤と紫外線吸収剤)による使い分け

日焼け止めには、紫外線散乱剤と紫外線吸収剤という紫外線をブロックする2つの成分(仕組み)があります。ご自身の肌質や好みに合わせて使い分けましょう。

 

紫外線散乱剤(ノンケミカル)

肌の表面で紫外線を物理的に反射・散乱させるタイプです。肌への刺激が少なく、アレルギーを起こしにくいため、敏感肌の方やお子さま、日常使いにとてもおすすめです。パッケージに「紫外線吸収剤フリー」や「ノンケミカル」と書かれているものがこれに当たります。

 

紫外線吸収剤(ケミカル)

紫外線をいったん肌の上で吸収し、熱などの別のエネルギーに変えて放出するタイプです。透明で白浮きせず、汗や水に強い製品を作りやすいため、サラッとした使い心地を求める方や、海・プールでのレジャー用、絶対に焼きたくない日に適しています。

 

 

 

日焼け止めの正しい塗り方

日焼け止めの効果を最大限に発揮するためには、量と塗り方が重要です。多くの方が、本来必要な量の半分以下しか塗れていないといわれています。量が足りないと、パッケージに書いてある防御効果は一気に下がってしまいます。次のポイントを押さえて、日焼け止めを正しく使いましょう。

 

顔への塗り方

ローションタイプなら1円玉大、クリームタイプならパール粒1個分を手に取ります。それを額、鼻、両頬、あごの5箇所に置き、ムラなく丁寧に伸ばします。さらに、もう一度同じ量を手に取り、重ね塗りをしてください。重ね塗りをすることで必要な量が肌に密着します。首の後ろも塗り忘れが多いので注意しましょう。

 

体(腕や脚)への塗り方

手に取ってから塗るのではなく、容器の口を直接肌に当てて、肌の上に線を引くようにスーッとたっぷりのせます。その後、手のひら全体をぴったりと肌に密着させ、大きく円を描くようになじませていきます。

 

2〜3時間おきに塗り直しましょう

朝にしっかりと塗っても、衣服のこすれや汗、タオルで拭く動作などによって、日焼け止めは時間とともに落ちてしまいます。「SPF50だから1日中大丈夫」というのは大きな誤解です。効果を持続させるためには、2〜3時間おきにこまめに塗り直すことが何よりも重要です。また、汗を拭いた直後は、時間に関係なくすぐに塗り直しましょう。

 

 

紫外線は夏だけでなく、季節や天候を問わず1年中降り注いでいます。10年後、20年後の健やかな肌を保つために、正しい日焼け止め習慣を身につけましょう。

 

 

【記事監修】西宮協立リハビリテーション病院 薬剤科 薬剤師

 

 

 

参考文献

  • 環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」
  • 日本化粧品工業会「紫外線防止用化粧品と紫外線防止効果(SPF・PA)に関する基準」(SPFおよびPAの定義・測定基準の解説)
  • Green AC, et al. "Daily sunscreen application and betacarotene supplementation in prevention of basal-cell and squamous-cell carcinomas of the skin: a randomised controlled trial." The Lancet, 1999.(サンスクリーンによる皮膚がん予防効果に関する前向き臨床試験)
  •  Green AC, et al. "Reduced melanoma after regular sunscreen use: randomized trial follow-up." Journal of Clinical Oncology, 2010.(10年間の長期追跡調査による悪性黒色腫への予防効果)
  •  Matta WA, et al. "Effect of Sunscreen Application Under Maximal Use Conditions on Plasma Concentration of Sunscreen Active Ingredients: A Randomized Clinical Trial." JAMA, 2019.(米国FDAが実施した紫外線吸収剤の経皮吸収に関する臨床試験)

 

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