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保湿剤の使い分け(ヘパリン類似物質、尿素、白色ワセリン)【薬剤師が解説】

乾燥する季節になると、お肌のカサつきや、かゆみにお悩みの方が多くいらっしゃいます。そんな時に役立つのが保湿剤です。保湿剤はさまざまな成分を含みますが、なかでも代表的なものとして「ヘパリン類似物質」「尿素」「白色ワセリン」の3つがあります。それぞれどのような違いがあるのでしょうか。今回は、保湿成分の特徴と効果的な使い方、冬から春にかけての肌荒れ対策、皮膚科への受診を検討したほうがよい症状について薬剤師の観点からご紹介します。

 

 

 

主な保湿成分の違い

代表的な保湿成分「ヘパリン類似物質」「尿素」「白色ワセリン」について、それぞれの効果や注意点をみてみましょう。肌質・部位・乾燥の程度に応じて使い分けることが効果的です。

 

ヘパリン類似物質(ヒルドイドなど)

効果
  • 水によくなじみ、肌の最も表面にある角層に水分を集めて保持する働きがあります。また、角層の水分保持機能やバリア機能を改善するという実験データが報告されています。
  • 日本では保湿・皮脂欠乏症に対する臨床使用実績があり、有効率が高いと報告されています。
注意点
  • 副作用は少ないものの、ごくまれに塗布部の刺激感や赤みが生じる可能性があるため、使い始めは注意が必要です。
  • 一般的に価格が高い傾向にあります。

 

尿素

効果
  • 角層の保水力を高めるとともに、角層を構成する細胞である角質をやわらかくする作用(角質溶解作用)があります。
  • 踵(かかと)や肘(ひじ)など角質が厚く硬くなった部位によく用いられます。
注意点
  • 角質溶解作用で皮膚のバリア機能を低下させる恐れがあり、敏感肌は刺激を感じやすくなるおそれがあります。
  • ヒリヒリしたり、赤みが生じた場合は使用を中止してください。

 

白色ワセリン

効果
  • 水分を与える作用は持たず、皮膚表面に油性の膜を作って水分蒸散を抑える「封じ込め型」の保湿剤です。
  • 他の保湿成分と組み合わせて使用されることが多く、刺激性も低いため敏感肌でも比較的安全に使用できます。
注意点
  • ベタつきやすいため、日中の使用は向かない場合があります。

 

 

 

保湿剤の効果的な使い方

塗るタイミング

入浴後や洗顔・手洗いの直後、肌がまだ少し湿っているうちに保湿剤を塗るのがおすすめです。

 

塗る頻度

多くの保湿剤は1日に1回から2回程度使用することが一般的です。乾燥しやすい季節や乾燥が強い部位には複数回塗ると効果的です。

 

塗り方の工夫

適量の保湿剤を手に取り、ゴシゴシこすらず、やさしく肌に広げます。シワに沿ってなでるように塗ると刺激を抑えることができます。

 

 

 

冬から春にかけての肌荒れ対策

冬は湿度が低下するため皮膚も乾燥しやすくなります。乾燥で皮膚のバリア機能が低下すると、刺激に対して敏感になり、肌荒れにつながります。室内加湿器の利用や洗濯物を室内で干すなど、空気中の水分量を保つ工夫をしましょう。

 

春は花粉や黄砂が皮膚に付着して刺激を与え、肌荒れ(花粉皮膚炎)を起こしやすくなります。保湿して角層のバリア機能を維持することが予防につながります。外出後はなるべく早く顔や身体を洗い流し、保湿を行うようにしましょう。また、紫外線も増えるため、外出時は日焼け止めを使用することもおすすめです。

 

 

 

皮膚科への受診を検討したほうがよい症状

次のような症状がある場合は皮膚科の受診をおすすめします。

 

  • 強いかゆみや痛み、赤み、腫れがある
  • 皮膚にひび割れ・亀裂(きれつ)・出血がある
  • 湿疹(しっしん)・水疱(すいほう)・膿(うみ)が広範囲に出ている
  • 保湿剤を1週間以上正しく使用しても改善しない
  • 原因不明の長期間続く乾燥感・かゆみがある

 

皮膚科では保湿剤の他にも、ステロイド外用薬・非ステロイド抗炎症剤・抗ヒスタミン内服薬などを必要に応じて使用し、根本的な原因を探る治療を行います。保湿を適切に行っても改善が見られない、症状が進行している場合には、皮膚科の受診を検討しましょう。

 

【記事監修】西宮協立リハビリテーション病院 薬剤科

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